近所にガリガリにやせ細っていつもニャーニャ―鳴いてフラフラしている野良猫がいます。子ネコという程小さくはないけど大人でもないように見えます。この猫を保護して飼いたいと考えているのですが、猫を飼った事も保護した事もなく、何から準備してどうしたらよいのか分かりません。記事にしていただけませんか?
このような質問が届きましたので、記事にさせていただきます。
野良猫を保護するのは、その猫の性格や今の環境によって違いがありますが、基本的には難しく長期戦になると思っていた方がよさそう。
保護猫を25年飼っている私でさえ、野良猫の保護に踏み切ったのは1回だけなんです。
特に命の危機にさらされいている野良猫・怖い思いをした野良猫は、自分の身を守るために警戒心が強く、1回や2回エサで釣ったぐらいでは保護できません。
でも、「どうしてもこの子の命を救いたい、迎え入れたい」と思っている方のために、我が家が野良猫を保護した体験談と、準備した方が良い物などを解説します。
目次
1匹で鳴き続ける子ネコ発見!野良猫を保護するまで
我が家のこの子。

あれは忘れもしない忘れたくても生涯忘れられない夫が懲戒解雇された翌月に発見して、保護をした野良猫です。
夫が「職を失った代わりに可愛い猫が来た☆」とか言っていたのでよーーーーく覚えています!!

午前1時頃に寝室で横になっていると、「ニャー!ニャー!」とかすかに聞こえてくる鳴き声。
マンションの横の遊歩道で1匹で鳴いていたのがのちの「あずき」です。
我が家にはすでに2匹の猫がいて、どちらも保護猫。
でも私自身、猫の保護をするのは初めての体験でした。
本当は保護をした手順をここに書けたらいいんですけど、保護猫をボランティアさんから引き取っている私は、世の中にはひどい事をする人がいることを知っています。
なので具体的にどう保護をしたかはここには書きませんが、野良猫を保護するということは、
- 時間がかかる
- 追ってはいけない
- 確実に1回で保護する
こんな感じの覚悟が必要。
逃げた子猫の生存を確認するためにしたこと
鳴き声を聞いた時、夫に洗濯ネットを持たせて(保護出来たら捕まえてもらうつもりで)見に行ってもらったのですが、案の定サッと逃げられてしまいました。
- 捕獲機を用意してまで保護するべきか。
- 自分の敷地でもないのに捕獲機を勝手に置いていいのか。
- 許可を得るなら何から調べたらいいのか。
- 保護出来たとして、何かの病気のキャリア猫だった場合、先住猫とどう暮らし分けるか。
この辺の悩みはあったんですけど、まずは早めに保護をして去勢・避妊はしてあげないと!という気持ちだったんですよね…
子猫が鳴いていた遊歩道には、数年前まで地域猫が暮らしていて、当時は地域猫が我が家の庭を通り道にしていました。
子猫を探し回って恐怖心を与えるより、猫の通り道になる可能性が高い我が家の庭に餌を置き、まずは子猫の生存を確認しよう!そう思いついたんです。
その時は他に野良猫がいず、遊歩道で暮らしていた地域猫たちももういません。
餌が減る=子猫が食べた、と考えてもいい環境だったんです。
不在にしている間や夜間に餌が減る!子猫は近くにいると確信
日中、家に居る間に子猫を見掛ける事はなかったし、遊歩道を通る時にさりげなく探しても猫の気配はしませんでした。
でも、朝になると庭の餌は減っていて、さらに不在にしている時にも餌が減っていたんです!

「子猫は絶対、この近くにいる」と確信しました。
夜や不在の時に餌がなくなるようになって数日、ある日の夕方、子猫が我が家の窓の近くに置いた餌につられるように登場しました。
鳴き声から予想したとおり生後2ヶ月ぐらいの子猫でした。比較的、健康状態は良さそう。
私の存在を確認しておそるおそる、大急ぎで餌を食べて逃げて行ったんです。
夜しか姿を現さなかった子猫が、いよいよ日中にも
最初の数日間は私たちがリビングに不在の真夜中に。
少しして夜から夕方に姿を現すようになった子猫は、しばらくすると日中の明るいうちに我が家の庭に姿を現すようになりました。
少しずつ警戒心を解いていってくれたんですかね…

昼間見た時は本当にガッツポーズをしたほど嬉しくて、早く我が家の一員に迎え入れる事ばかり考えていました!
保護するまでにかかった日数は約1ヶ月
初めて鳴き声を聞き、鳴き声を頼りに姿を確認してから、保護に至るまで1ヶ月近くかかったと記憶しています。
我が家の先住猫のうちの1匹「おもち」が網戸越しに子猫にお腹を見せて遊びに誘うまでになり、子猫もたいぶ警戒心を解いていたものの、保護の瞬間はそれはもう大暴れで鳴き叫ぶ状態…
私の経験上ひとなつこい猫でも「捕まえる」という雰囲気を敏感に察知し、逃げて気配を消してしまいます。
人懐こくて人間に近寄っていき触らせてくれる猫でも、抱き上げた途端にパニックになる事も考えられます。
逆に言うと、人間が近寄って行ってそのまま保護できるような子は、恐らく命も危ぶまれるような状況だということでもあるんですけどね。

野良猫の保護は、緊急を要する場合を除き、少しずつ猫との距離を縮めて、時間をかけて行う事をおすすめします。
では保護をした後の事をお話ししますね。
保護出来たらケージ飼い推奨!保護後のコツ
猫を保護した時にあった方が良いものは次の通り。
- ケージ
- 猫トイレ
- 爪とぎ
- 猫用の餌
- 小さめの段ボール
- キャリーバッグ
- 洗濯ネット
説明します。
部屋に離してしまうと後々大変!ケージで過ごさせる
猫を保護したら先住猫がいるいないにかかわらず、落ち着くまでケージで過ごさせるケージ飼いをおすすめします。
ケージ飼いをおすすめする理由は次のとおり。
- 猫がどこに入り込んでしまったのか分からないと猫にとっても危険。
- トイレ以外の場所で用を足されないように。
- 月齢によってはスプレーが始まっている事があるので、部屋中にスプレーされないように。
- ノミがいた時に家じゅうにまき散らさないために。
実は私、もう亡くなった先代猫を引き取った時、すぐに部屋に離してしまったんです。
その子はノミがいたので…家じゅうノミだらけに…!!!
今思い出してもゾッとします。ノミは人間も刺して来ますからね!!繁殖してしまうと駆虫が大変!

それに保護してしばらくは病院に連れて行く事も多いんです。そのたびに家じゅう探し回って捕まえていると、猫にとって飼い主が敵になっちゃう。
保護されてただでさえ警戒心を強めている時期に追い掛け回す事は猫のストレスになります。
ケージ飼いしていれば、追い掛け回すことなくキャリーバッグに入れられますし、スプレー行為をすることも、あちこち爪とぎをされる事も、粗相される事もありませんからね。
「閉じ込めるなんてかわいそう!」と思ったあなた。
猫とはこれから長い付き合いになります。しっかりと線引きをする事で、お互いが快適に過ごすことが出来るんですよ。
それに、猫は狭い場所が落ち着きます。
ケージの中に小さめの段ボールを入れておいてあげれば、猫は真っ先にその中に入るし、しばらくその段ボールの中でジッと身を潜めて過ごすことになります。
あちこち動き回るようになるのは、「敵がいなそうだ」と猫が納得してからなので、どちらにしても数日間は動きません。
だからケージに入れることに罪悪感を感じる必要はなく、むしろ猫のためにもケージを用意してあげましょう!
動くようになってからの事を考えて、出来れば2階建てや3階建てのケージを用意してあげると、猫の運動不足解消になりますよ。
▼我が家は6,000円ぐらいのものを購入しました。
金銭的な問題や場所の問題で用意できない場合は、1段のものでも良いです。でも必ず猫用ケージを用意して下さいね。
犬用ケージは天井がなかったり隙間が大きく、猫にとっては簡単にすり抜けられるものが多いんですよね…

ケージの中でトイレ、爪とぎを習慣化しておけば後が楽
私がケージ飼いをおすすめする理由は他にもあって、ケージの中にトイレと爪とぎを入れておく事で、トイレや爪とぎの習慣を身に着けさせることが出来るからでもあります。
猫はトイレを簡単に覚えますので、ケージの中で覚えさせなくてもほぼ問題ないんですが、
中には「クローゼットに逃げ込んでしまい、恐怖心から出ることが出来ず、そこで粗相をしてしまう」というケースもあります。
そこにあなたの大切な物がしまってあったらどうですか?
こういう小さな積み重ねが飼い主のストレスになって、猫を保護した事を後悔するような事があってはならないと思うんですね。
だからまずはケージの中で、トイレを確実に覚えさせること。
猫はトイレの場所を滅多に変えません。だから1度覚えさせてしまえばトイレで用を足してくれます。
我が家ではシステムトイレを使っているので、ケージの中にも小さなシステムトイレを入れて覚えてもらいました。
▼これなら小さめのケージにギリギリ入るかな…というサイズ感。
そして次に忘れがちなのが爪とぎ。
「爪とぎは専用の爪とぎで」、これもケージの中で覚えてもらうんです。
家具やカーテンで爪とぎをするようになってしまうと、あっという間に家がボロボロになっちゃいますからね…
爪とぎをおしゃれで可愛いものにしちゃう人っているんですけど、正直言って消耗品なので、高額なものをボロボロのまま置いておくより、安価なものをこまめに取り換えた方が猫が爪とぎを使ってくれます。
▼うちはカバーもなにもない段ボールのやつを置いてます。
猫はかしこい動物、「ここが一番最適」と覚えてもらう事が大切
猫は本当にかしこい動物です。
そして自分が快適であることを大切にしています。
トイレも「ここが一番安心で快適」という場所を気に入るし、爪とぎも「これが一番研ぎ甲斐がある」と思ってもらったもの勝ち。
ソファーや壁での爪とぎを覚えてしまう前に、専用爪とぎでの爪とぎを習慣化してもらう事で、猫も人間も快適に過ごすことが出来ます。
我が家の猫は、壁やカーテン、ソファーで爪とぎをしません。

壁やカーテンやソファがボロボロになるぐらい、猫の可愛さの前では大した問題じゃない、そう思う方もいるとは思いますが、
上手に共存できるのならそれに越したことはありませんからね。
駆虫・出来れば避妊去勢手術まで済ませて、部屋飼いに
猫を保護したら、猫の興奮状態が収まってから病院へ。(命に関わる状態の時はすぐ)駆虫と避妊去勢の相談を。
猫を保護した後、すぐに病院に連れて行った方が良いのか悩ましいところなのですが、「あずき」を保護した時は、健康状態が良さそうだったのですぐには連れて行かず、興奮が収まった頃 (確か3日ぐらい経った頃)に病院へ連れて行きました。
衰弱していたり目やにがひどいなど、命に関わる状態ならすぐ連れて行ってあげた方が良いですけど、元気な状態だと保護で警戒心を強めている中、更に恐怖心を与える事になりますからね。
「すぐに連れて行く」という方もいますので、状況に応じて判断を。
この時、ケージからじかにキャリーバッグに入れようとすると大抵うまく行きません。
そこで洗濯ネットの出番。
洗濯ネットに1回入れてから、キャリーバッグに入れるようにすると失敗せずに1発で済みます。

洗濯ネットは猫が入るサイズのものなら何でもいいです。
しっかりファスナーがしまるもの、簡単に破れないものを用意しておきましょう!
ソフトキャリーの方が楽なので我が家はソフトを使っていますが、もっとお手頃なものでもオッケーです。ただ、あまりにも安価なものは性能に不安があるので、2,000円台の物が現実的かなと思います。
動物病院では、保護をした事を伝えて、健康診断などをしてもらいます。
その際に駆虫と、月齢に応じて避妊去勢の予定などを話し合っておくといいですね。
避妊去勢手術を終えてから部屋飼いにするのが理想ですけど、手術が何ヶ月も先になりそうなら駆虫だけ済ませてから部屋飼いに切り替えることをお勧めします。
つまり、1回も病院に連れて行ってない状態で部屋に放つのは、得策ではありません。
野良猫を保護した体験談「最初が肝心」飼い方、準備するものや注意点を解説さいごに
猫はかしこい動物です。
だからこそ最初が肝心!
ケージや洗濯ネット、爪とぎやキャリーバッグなどなど省略してもうまく行くケースもありますが、入念な準備をしておいた方が後々ぜったいに楽。
この記事があなたの保護猫ライフのヒントになりますように!